コロナなどの未知のウイルスについての中医学からの考え方
 ≪杏庵オリジナル編≫ R2.3.24UP

コロナウイルスが蔓延しているこの時、
中医学から診て、どのように考えていけばよいのかを、考察いたしましたので、
ご参考にして頂けたらと思います。
(以下の文章は、
杏庵初級講座修了の方に向けて、あるいは中医学を勉強している人向けとなりまして、
初めて中医学に触れる方にはちょっとわかりずらい表現となりますこと、お許し下さい。)

漢方薬局におきましては、
抗ウイルス作用のあると言われている清熱解毒薬に分類される生薬がよく使われています。
板藍根、金銀花、連翹、射干、大青葉などなどを中心に使われておりますし、
(ただし本当に抗ウイルス作用があるのかは証明されておりません。)
方剤では、銀翹散や清肺排毒湯などが良いと言われたりもしております。
本当に、これで良いのでしょうか?(良い場合ももちろんあります。)

私の講義をお聴きの方は、ご存知の通り、
中医学では、何を見るのかを原点に帰らないといけない。
今回の場合も、全く難しく考えなくて良く、
そうです、基本は、「体のバランスがどのように崩れているのかを見る。」これだけです。
私は、陰・陽の天秤をよく板書して、からだの陰陽のバランスがどう崩れているのかを解説しますが、
今回の場合は、体の中の
「免疫力」 と 「邪気」 のちからのバランス天秤です。

「免疫力」 が強ければ、発症しなく、弱ければ発症します。
「邪気」 が強ければ(免疫力を超えれば)発症しますし、
邪気の力が弱ければ発症しません。若者には発症しない方が多い所以です。
(全く難しくないです。)

ニュースでは、基礎疾患のある方、高齢者の方が重症化しています。
これは、「免疫力」の方の天秤が下がってると考えます。
反対に、「邪気」 のチカラが体にどう影響しているか逆の天秤も見ます。
すなわち、「免疫力」 と 「邪気」 の天秤のチカラ関係を把握することがまず第一に行うことです。
このチカラ関係は、個々違ってくるので、おのずと使う生薬も変わります。
基本的には、両方の生薬を使わなければならないですが、

個々の体質に合わせてオーダーメイドします。
ですので、西洋医学のように、単に抗ウイルス作用のある清熱解毒薬
を使うのではなくで、この天秤バランスを見て把握できて、初めて処方に移れます。

以下は、応用となりますが、
「免疫力」がどのように低下しているのか、
また上げるにはどの生薬を使えばよいのか考えなければならないです。
その人は、五臓ではどの臓が弱いのか(肺は要注意です)、また気血津液も考慮します。
使う生薬は黄耆がメインとなる方が多いですが、これだけでは不十分です。
「邪気」には、六淫を中心に、内生五邪、あるいは二次的病因など様々な面から考慮します。
的を得て、的確に敵をやっつけなければいけません。

講義にてお話をしておりますとおり、中医学基礎理論は非常に重要です。

従いまして、まとめますと、
単に、抗ウイルス作用のある生薬を使ったりするのではなくて、
そして、単に免疫力を上げる事だけ考えるのではなくて、
個々をよく観察して、その人の天秤がどう崩れているのか、バランスを整えるにはどうすればよいのかを
考えることが、中医学の基本であると私は考えます。

免疫力向上の具体的な方法や邪気対策の処方に関する実際の応用編は、
機会がございましたら、
杏庵の中級講座などにて、詳しく解説できたらと思います。

中医学をまだ勉強されていない方には、難しかったように思います。
が、ご興味のある方には、ぜひこの機会に本物の中医学を勉強して頂けたらと、思います。

それでは、皆様、どうぞ、お気をつけてお過ごしくださいませ。

中医薬膳 杏庵
代表 小野 和男